私の経験からお話しすると、クレームは企業においては損失ではなく、チャンスであると考えます。なぜならば企業の商品に関して組織の外の視点からものを言ってくれるからなのです。そこには企業も商品も大きな成長しろができます。もちろんただそういったクレームをうのみにするのでなく、それは実際よく吟味して変えていけるところは取り入れて生かすことができます。クレームが企業側の商品自体に問題があるのかどうなのか、あるいは消費者の提案であることもあります。提案の場合はひとつの案として取り上げ参考にしますが、部分的最適化が全体を滅ぼすとあるように必ずしもその提案が市場全体を代表しているのではないことも肝に銘じておく必要があります。
またクレーム処理を担当するということは個人的にはコミュニケーション能力を高める最高のチャンスでもあります。クレーム処理は場数を踏むしかなかなかできるようになりません。ホントになれてくると逆にどんなことを消費者が言ってこようがでんと構えて堂々と対応することができるようになります。さらにそのレベルを越えていくと、こんな無理難題を言ってくるなんていったいどんなひとなんだろう。どういう育ち方をすればこういう人格にできあがるのだろうとその人自身にとても関心をもつということもあります。そこまで行くには相当心のゆとりがなければなりませんし、自分以外の他者に対する関心や愛情など人間的器も必要になってきます。実際クレームをよく言う人をクレーマーとレッテルを貼った段階でもうクレーム処理は負けてしまっている。すなわち受け取る側が壁をつくっているようなものだと思います。
学校側にいろいろ言ってくるものもクレームであるのか、提案であるのか一方的で自己中心的な要求であるのかを区別して考えなくてはなりません。もちろんモンスターペアレントと言われている人びとは圧倒的に無理難題の要求なのでしょうが。とりあえずいろいろ言ってくる人のその背後の意図をいかに読み取るかという問題になります。いずれにせよ、相手の言動に振り回されず確固たる態度を貫くことも重要です。あとはうまく相手の気持ちを察して理解し、人間的な関係を構築することができればもうほとんどは終結に向かっています。
モンスターペアレントになってしまっている(もちろん本人はそういう認識はないですが)親というのは何かが欠けているのです。ホントに愛情を受けて育った人は相手の気持ちも察し、相手に自分の都合のいい要求ばかりすることはありません。何か不自然なカタチで育ったか、性格的にいつもイライラしていたり、被害妄想が多いタイプであるかもしれません。相手を負かすという考え方は必要ありません。逆に負けることで勝てたりします。要は最初から負けてしまうという認識を持たないことが重要です。それはどういうことかと言うと相手を‘モンスターペアレント’とレッテルを貼った時点でその教師は自分の心の中に「怖い」「勝てない」「難しい」「自分には無理」といったすり込みをしてしまっているということです。そしてモンスターペアレントは加害者で自分は被害者という認識に立つことがすでにクレーム対応に大きな精神的負担を負わせてしまっているのです。企業の場合は明らかに消費者が被害者で、企業側はいつも加害者になる可能性という観点で顧客に対応するので丁寧に受容できる精神状態でクレーム処理に臨むことができるのです。
基本的に被害者意識も加害者意識も持たないほうが最高にいい結果を生みます。とくに教職員は親たちといっしょにより良い教育ができるように改善していきましょうという認識を持ってもらうことが大切です。今企業はどこも顧客をファン化するアプローチをしています。味方につけるということです。親をモンスターペアレントとみなしているレベルでは味方につけるどころか敵愾心を持たれてしまいます。まずクレーム対応をする側から心の壁を取り払っていくこと、どんなことでも受け止める精神的ゆとりが必要であると思います。
もちろん世の中にはとんでもない人はいるはずですし、到底手の施しようがない場合は当然しかるべき措置は必要です。いじめ問題や体罰などで学校に警察などの公権力を導入することはグローバル化してきた日本でも一つの案として選択肢から除外すべきでないということは付け加えておきたいと思います。
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