会社での会議はいつの間にかものごとの本質からズレて結局建前論が先行してしまうことがよくあります。起業間もないベンチャー企業などはまだしも、もう何年も安定して経営を行ってきた企業ほどそういう状況になっているのではないかと思います。なぜなら現状を変えたり、イノベーションを起こす必然性をあまり感じないからです。そういった会社の社員は会議はいつものルーティンの一部に他ならず、そこで新しいものを生み出そうとか、何か変えていかなくてはならないといった雰囲気、意識はなく、そういった気概も感じられません。
もちろん上層部も社員たちもそれを善しとして、全くそういった状況を問題視することなく、ただ徒に時間を消化することだけを考えているという状況になっていたりします。そういう中でたまに血の気の多い社員や中途採用のまだ組織の色に染まっていない社員なんかがいたりすると、組織的な問題や業務や商品開発などさまざまなことがらに本音をぶつけ、一石を投じるなんてこともあるのですが、そういった行動には会議参加者の大半は火消しに回るということになります。
実は彼らが思っていることはみんな思っていたことで、すでにそれができないほど組織の制度にがんじがらめに埋め込まれた状態にあるので、そういった提案や意見はできないこと、無駄なことというカテゴリーにふるい分けられ、議題にあがることはないのです。まさに非効率的で理不尽であったりすることが公然と組織の成員の暗黙の了解の下にまかり通っているという状況があったりするのです。
すでに組織の上層部のみならず成員全体が、本音のところではその部分の改革が必要だと思いながらもそれはできないことといういわば‘思い込みサイクル’に陥っているのです。実際は力を合わせてやればできることであったりするのですが、できないという思い込みです。個人においては自分自身が思い込みサイクルにはまっていると思えば、自己啓発セミナーに出たり、本やさまざまなメディアから情報を得たりして、自ら努力することでそこから脱却できるかもしれません。でも組織となれば簡単ではありません。
組織の中でたった一人で改革をやろうと思ってもたいへん困難です。経営トップでさえ困難であったりします。組織の一社員であれば、間違いなくもっと難しいでしょう。それでも何とかしようと思えば、まず経営トップや執行部を動かすだけのパワーを持たなければならなくなります。地位がなければ、まず意識や行動をともにする人的基盤を築いて上層部に訴えるという作業が必要になってきます。ところがその作業のプロセスの段階でその流れはつぶされてしまうという可能性も大きいのです。下手をすると組織の方向性とは違うとレッテルを貼られ、その組織の中にあって組織のために行動しているにも関わらず重要なポストから排除されてしまう危険性だってあります。そして信頼していた人びとさえ組織の論理を代弁しているとされる上層部のや会社側の論理に引き込まれ、脱落していくという人が出てきます。
こういったことは一つの大きな組織の秩序や統制を維持するためには仕方のない一面もありますが、結果的に個を重要視しないことがもたらす全体の滅びでもあるのです。部分的最適化が全体を滅ぼす逆パターンです。経営トップや組織の上層部はそういったキラリと光る原石を見極め、一旦耳を貸すという勇気も必要です。もちろん振り回されて会社を破たんさせるような方向に行くことは避けなければなりませんから、当然慎重になる気持ちはよく理解できます。でもつねにそういった組織内の核心部分をついた本音の声を封じ込めることばかりやっていると何も変わらないし、企業の成長はストップした状況が続くのです。
個人も組織もものごとの本質に向き合う力がとても弱いのです。これは日本的な経営の弊害部分でもあると思います。戦後の経済の高度成長の時代にはヒエラルキー組織で統率してがんがん生産効率を高めていくことが企業の収益につながっていたのですが、モノがあふれていて知的労働のほうが重要とされる現代では旧態依然たる組織風土や思考にとらわれていては全く成長できないのだと思います。そういったことに気づいて企業のトップや上層部が行動を起こしてもやはり過去の既成概念が邪魔をしてやはり思い切った改革、転換ということはなかなか困難です。
世界的に成長しつづける企業の多くはそういった既成概念を崩して通常の理解を越えた取り組みをしています。世界的企業のグーグルなどは社員が散歩しながら会議をしたり、いいアイディアを捻出できるようにさまざまな工夫をしています。そして社員の健康まで自己管理できるようにトレーニングジムや24時間無料の社員食堂もあったりします。毎日決まった時間に出社して決まった時間でなく遅くまでサービス残業を課すような会社ではまったく理解不能な取り組みです。
労働価値説的な思考から脱却できないレベルはもう言うに及びませんが、今までの日本の会社という枠組みを崩すくらいの発想ができなければものごとの本質に向き合って会社を大きく変えていくなどという行動はできないのです。名を捨てて実をとるということこそ今の日本的経営を行ってきて行き詰っている企業には必要なのです。社員の行動をがんじがらめに縛る会社ほど非効率的で逆に自由な思考や行動を受け入れ、ものごとの本質が見えてくるような組織風土を築いたほうがよっぽど効率的であると考えます。そして減点主義でなく評価主義に切り替えつつ仕事に誇りをもって取り組める風土にすることが企業や組織のトップや上層部がもっとも考えていかなければならないことだと思います。
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