最近企業崩壊の状況を描いたドラマ「メイドインジャパン」を見ていろいろ考えさせられました。もちろん内容はフィクションであるので、現実的でない部分はふんだんにあるわけですし、ドラマとして面白くするための工夫が多分になされていることと思います。
ただこのドラマにはいろんな要素が織り交ぜられていてとても面白いと思いました。すでに一話は放映済みですが再放送もあるようなのでぜひご覧になってみてください。
http://www.nhk.or.jp/drama/madeinjapan/
まず、組織変革や大きな仕事を託される人材というのは、組織に埋もれてしまうような平凡なごく普通の人では到底できないという話です。タクミ電機の経営危機回避を託されたのもやはりそういった組織内では一癖も二癖もある実力者でした。もちろん彼らは組織内で同化しきれず浮いた存在ではありますが、個々人の能力はそれぞれのエキスパートです。
会長が最終的にクビを切ろうとしたのは現社長である自分の息子です。そのことを唐沢演じる矢作が聞いて、会長の会社再生のプロジェクトの本気度を実感したと思います。またこのプロジェクト成功の暁には彼を役員にしてやると会長が言ったとき、矢作は社長にしてくださいと言うところがあります。ここら辺から普通の社員でないことは十分伝わってきます。私はこの一環の流れを見て、三国志の劉備玄徳が諸葛孔明に後を託す場面が思い浮かびました。劉備は孔明に自分の息子がダメなときはあなたが後継者として立ってほしいということを話しました。孔明は義理と人情で息子を立てますが、最終的に才能のなさに自分が結果として舵取りをするようになります。もちろん組織的な配慮なのか、劉備の血統というカリスマをあくまで重要視したのか表より裏で支えるというカタチでの政権運営でした。タクミ電機会長の息子をクビにという言葉はとても重く、ある面リーダーとしての潔さ、決意、そして企業を公的存在ととらえている社会貢献性に根差した考え方が伝わってきます。思えば、日本の企業は財閥解体以降、世襲制を捨ててより実力のあるものを後継者に選んできたという歴史があります。もちろん同族企業や世襲を一筋縄で悪いというつもりはありません。ただ後継者ということを考えたとき、そこはシビアに見ることができるのが真のリーダーだと思います。企業の存続を中心に考えるのか、あくまで家族の将来を中心に考えるのかということであると思います。
そもそも、株式会社で上場した会社ははっきりと「企業は社会の公器」という観点を受け入れたということだと私は考えています。あらゆる人びとからの投資を受けて、その社会の期待を背負って経営をしていくわけですから。つい最近、不祥事を起こして有名になった企業に同族経営の企業が多かったのも事実です。また創業者の息子で後継者としてより会社を大きくさせたり発展させている人はやはり創業者とぶつかって組織内では異端視されるような人であったり、海外で学んで来たりする人が多いように思います。また身内から後継者としてうまくいっているケースは創業者の娘婿であったりします。松井証券や鈴木自動車などもそのケースだと考えられます。同族であれ、そうでない企業であれ、企業の組織論理にしたがって経路依存の考え方に支配されている人材は、変わり行く経営環境に対応できず結果的に打つ手がなく企業崩壊を見守るしかないという状況に陥ります。
組織変革は周辺企業(部署)から、企業の改革、立て直しは周辺的人材からと言っていいかと思います。彼らは組織論理の王道を歩いているのではなく、まったく組織の外部の視点を持った人びとです。ある面組織の通常の考え方を冷ややかに客観視しながら対極にもものごとを見ることができるスキルも持ち合わせなければなりません。なぜ彼らは周辺人材になりうるのか、それは組織内で彼らの考え方があまりにも前衛的で受け入れがたいものであったりするので多くのレッテルを貼られたり非難をあびることが多く、それも彼らを周辺に追いやる原因となっていると考えられます。でもそこで彼らが考えを変えてすなわち魂を売って企業の組織論理に取り込まれてしまったらそれで終わりです。彼らは頑固でかたくなに自分の考え方を貫いた結果、はじかれてもう行き場がないと思ったところにお鉢が回ってきたという話です。
組織論理の中で従順に従うだけの人は歴史に名前を残さない人です。逆にそれに対してつねに疑問視したり、あるいはしたたかに行動し続けた人は最終的には歴史に名を残す隊列に加わることもできるはずです。PSIでは自分軸ということをいつも大切に考えていますが、歴史に名を残すかどうかはまた別の話ですが、重要なことはいつも自分の心に素直にしたがって生きるということであると思います。それは人間の本性がそれを望んでいるからです。
タクミ電機の矢作氏は会長に、再生の暁には役員でなく社長にと言いました。諸葛孔明を引き合いに出すにはあまりにレベルが違いすぎますが、普通に考える義理人情ならば、やはり息子を支えますとか返答するところです。でも彼の考え方を理解している会長にはそういう言葉には何の驚きもなかったかもしれません。ホントの責任感という観点では、彼の返答は納得できますし、そこからエゴイスティックな感じはまったく感じられません。ちなみに私がびっくりしたのはそこまで会社を愛する精神に驚かされました。私なら、さんざダメにした経営を建て直せなんて、馬鹿馬鹿しいと思っていないかななんて思うのです。そこまで会社にコミットしないのではないかと。まあでも会長が自分の息子をクビにするなんて腹を見せられて、そこまで経営立て直しを託してくれるのなら……。ちょっとわかりませんね。
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